あれこ れこーど

音楽・趣味を中心の雑記

瞑想でヒトは人間になる

近頃、瞑想がメディアなどで取り上げられることが増えました。私も以前から興味があり、瞑想を試してみたいと思っていました。

中でもよく耳にするのが「マインドフルネス」。

でもマインドフルネスって、いったいどういう意味でしょうか?

 

今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること 日本マインドフルネス学会のHPより引用)

 

なるほど。よくわかりません。

 

瞑想のやり方をネットでざっと調べてみても、そのやり方は人それぞれ、そもそも正解などないらしく、どうやって始めたらいいのかいまいちピンと来ません。

イメージで瞑想の真似事をしてみても効果はよく分からないし、本末転倒なことに、このやり方でいいのかという雑念が湧いてしまいます。

 

 

アルボムッレ・スマナサーラ長老

これは書籍などで本腰を入れて調べる必要がありそうだと思い、試しにアルボムッレ・スマナサーラ長老の本を購入しました。(スリランカ上座仏教の長老さんです)

しかし、彼の本が非常に分かりやすく、いきなり瞑想のハウツーの調査は終了したばかりか、なぜ瞑想が良いのか、というのを得心させられました。

 

瞑想、かつ仏教の長老の本ですから、さぞかしスピリチュアルなんだろうな、と思いながら読み始めたのですが、数分でその先入観は打ち消され、没頭して読み進めてしまいました。

それは下手な自己啓発書より、よっぽど現実的で優れた自己啓発書だったからです。

 

我々はとにかく悩みます。 自分の将来、過去の後悔、人間関係、仕事、、、本当に悩みは尽きません。ですがこれらは悩んでも仕方のないことのほうが多いのではないでしょうか?

その悩みのせいで四六時中脳を使ってしまい、本来持っている力を発揮できずに、注力すべき今を生きることができず、動揺したまま人生を終わらせている人のなんと多いことでしょう。

この「悩み」をはじめとしたネガティヴな思考は、すべて原始の脳と大脳の性質の違いから来ています。

 

原始脳と大脳の性質の違い

原始脳とは脳幹、間脳、大脳辺縁系を、大脳は大脳皮質の外側の部分、と定義しています。

簡単に言うと、本能の原始脳と理性の大脳で、これらはまるっきり正反対の性質を持っています。

 

私たちの感情は全て本能から来ており、それを理性でコントロールしているのですが、大脳は原始脳の要求に従わざるを得ません。トレーニングしていない大脳では、簡単に本能に翻弄されてしまいます。

だから心は穏やかではいられず、イライラし、落ち込み、キレてしまい、鬱になるのです。

 

瞑想は大脳をトレーニングする科学的アプローチ

じゃあ大脳を鍛えりゃいいんじゃん!と言うことで瞑想を発明したのが、お釈迦様ことブッダです。

仏教は精密な心の科学です。神様がなんとかしてくれる、というようなものではありません。

修行(瞑想)によって本能から大脳を救出し、精神的に自由になることこそが解脱(げだつ)だったんですね。

瞑想によって脳が開発されると

  • 悩まない。
  • 落ち込まない。
  • 怒り・嫉妬・憎しみなどの感情に左右されない。
  • 振り回されない。
  • 落ち着いている。
  • すごく安穏を感じられる。
  • 興奮しない。
  • 恐怖感がない。
  • 心配がない。
  • いつだって正しい判断ができる。
  • 何か突然予測しなかった問題が起きてもすぐ対応できる。

という状態で生きられるようになります。(自分を変える気づきの瞑想法より引用)

 

サマタ瞑想

瞑想のやり方は多岐に渡ります。ヨガもそのひとつですし、禅や念仏もそう。

スマホのアプリで入手できる環境音を聴いて落ち着く、踊りや登山で落ち着く。なんでもありのようです。

仏教のサマタ瞑想の数も約40種類あるようで、それはネットで調べてもやり方がよく分からないはずです。

心が深く落ち着いて統一されれば、どういう方法でもいいのです。

(自分を変える気づきの瞑想法より引用)

 

 私たちが一般的にイメージしているこれらの瞑想は、サマタ瞑想と言います。

サマタとは「落ち着く」という意味です。

この瞑想によってα波という脳波を出し、心を落ち着かせるんですね。

 

α波には右脳の働きを高め、記憶力、集中力、免疫力を高め、幸福感をもたらしてくれます。経営者、アーティストやスポーツ選手がパフォーマンスを高めるために、瞑想をするというのはとても理に適っています。

 

ヴィパッサナー瞑想

お釈迦様の瞑想が観察瞑想のヴィパッサナー瞑想です。これでしか最終的な悟りまではたどり着けない、ガチ瞑想です。

5つのポイント

  1. ストップモーション(死体を演じる)
  2. 身体の感覚を感じる(心を発見する)
  3. ノンストップ実況中継(思考の停止)
  4. スローモーション(因果法則の発見)
  5. 背筋を伸ばす(怠けをなくす)

   (自分を変える気づきの瞑想法より引用)

 

書籍にはポイントの解説、実践法が非常に分かりやすく書かれています。

ヴィパッサナー瞑想は非常に簡単なのですが、実際に毎日やるとなると大変です。その辺についても長老は言及しています。修行なんだから大変に決まってますよ、と。

しかし効果は驚くほどすぐに現れ、それは素質や年齢などに左右されるものではないとのこと。上記の効果が得られるのであれば、まったく惜しくない投資です。(長老は瞑想によって何かを得ようと思うことを禁じていますが)

 

瞑想の基本は何かというと、 「まったく考えない、思考しない」ということです。

ちょっと瞑想をしてみるとわかると思いますが、すぐに雑念が浮かんできます。

 

脳の仕事は、絶えず考えることなのです。しかし理性をバッチリ働かせた、クールな思考ではありません。絶え間ない妄想です。

(自分を変える気づきの瞑想法より引用)

 

この原子脳発の雑念、妄想こそが我々の心を動揺させている原因ですから、大脳を働かせて思考を止めることを目的とします。それを5つのポイントの3番目、「ノンストップ実況中継」で行います。

 

これは簡単に説明すると、瞑想中に今自分の体に起こっていることを実況中継して、妄想が働く隙を与えなくする、というものです。

これこそが、“今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること” なんですね、納得しました。

 

ヴィパッサナー瞑想を全てこなすとなると、1日3時間は必要になると思います。忙しい現代人、なかなかそんな時間は捻出できませんから、まずはポイント1のストップモーションで死体になってみるのをお勧めします。

確かに心が静かになる感覚を味わえます。

 

最後に

長老は、修行前の私たちは、まだ人間になっていない獣と言っています。

瞑想によって人間になってみるのもいいかもしれませんね。